言いましたが、 違います‼︎


「軽く言うからさぁ。一応、撮っておいてよかったよ」

なぁと慎太郎に言い、

「よろしくお願いします」

と慎太郎と共に頭を下げた。


「はあぁ?いいわけないじゃない‼︎こんなの無効よ‼︎」
「でも、もう荷物運び入れちゃったし。
即退去で大家も大喜び」

永太郎がリビングの一画を見る。
そこには幾つもの段ボールが置いてあった。


「マジ?」

そう呟くと「マジマジ」と永太郎も同意する。そして、またスマホをかざす。

[今のうちに手続きも済ませちゃいたいから、慎太郎の事お願いできる?」
[あんたに任すわ]

また私の声が流れる。
私の声だが全く記憶にない。

永太郎を見るとニヤニヤしながら、「証拠もバッチリ」と笑っている。

本当にムカつく。

「で、どれだけ預かるの?」

嫌だが、言った手前後には引けない。

永太郎は一本の指を上げる。

「1時間?1日とは言わないわよね」

ニヤッと笑い「1週間」と言い切る。

冗談じゃない。
私だって暇じゃないのよ!

そう反論すると、

[どうせ無職で暇してますよ。文句ある?]
[大助かりです。では、よろしく]

再生してみせる。

言った記憶すらない。

< 27 / 124 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop