言いましたが、 違います‼︎

「冗談じゃない。手続きで、そんなに掛かるわけないでしょ‼︎1日で終わらせなさいよ‼︎」
「1日じゃぁ、移動だけで終わっちゃって何も出来ないよ、ねぇ」

腕の中で眠りそうになっている慎太郎に同意を求める。

「ねぇ、じゃないわよ‼︎移動ってどこまで行く気よ」
「どこって。北海道?」
「北海道‼︎」
「逃げた女は北に向かうって言うじゃん」
「じゃん?そんな話聞いた事もないわよ‼︎」
「そう?」

豪快に笑う永太郎。

嫌いじゃないけど、イラッとくる。

私が睨みつけると、

「冗談です。
九州に心当たりがあるのでちょっと行ってこようかと」
「真逆じゃない‼︎
九州なんて、飛行機で1時間で着くじゃない‼︎
それをなんで3日もかけるのよ‼︎」
「後から色々言われるのが嫌だから、
今のうちに全部きっちりやってしまおうかと」

「思って」と最後の言葉がドンドン小さくなっていく。

「さっきからなんなの?
話すなら最後までちゃんと話しなさいよ」
「美紗都ちゃん、怖いんだもん」
「いい歳したおっさんが “もん” とか言わないでよ。
それに何馴れ馴れしく人の名前をちゃん付けしてるのよ‼︎」
「怒った美紗都ちゃんは怖いですねぇ」

慎太郎に話しかける姿が、余計に私を苛立たせる。

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