言いましたが、 違います‼︎
6-2
慎太郎を取り上げて、その場に正座させる。
「こんな事言いたくないけど、
慎太郎は本当にあんたの子なの?
いきなり “あなたの子供です”って連れて来られて、“はい、わかりました” っておかしくない?」
永太郎は真剣な眼差しで真っ直ぐに私を見た。
「大丈夫。ちゃんと考えた結論だから」
「育児って自分で産んだからこそ、耐えれるの。
少しずつお腹が大きくなって、愛おしく思ってたからこそ、守らなきゃって思うものなの。
それでも耐えきれない時があって。
こんなに可愛いって思っても、憎らしくていなくなって欲しいって思ってしまうのが、育児なのよ。
犬猫だって、ちゃんと最後まで面倒見れなきゃ飼っちゃダメなの。タダじゃないの。
“もうムリ” っていって “ハイ、そうですか” じゃ済まないんだからね」
一気に言い切る。
自然と言葉に出て来たのが三枝さんから言われた事だった。
子供を育てるという事を安易に考えている永太郎に腹が立つ。
クククっと小さく笑う始める。
「美紗都ちゃんは見た目と違って、真面目だなぁ」
独り言をいう永太郎。だが、シンとした部屋でははっきりと聞こえる音量だった。