言いましたが、 違います‼︎
真剣に話しているのに、私バカにされてる?
永太郎如きに?
「確かに大変だと思うよ。でも、心当たりあるし」
あるんだ、心当たり。
勝手に産んだのか、今まで女を放置していたのか、どっちにしても
「最低」
心の声が漏れる。
「でも」
と永太郎は
「僕が引き取る事で2人の命を救った事になると思わない?
陽子ちゃんと慎太郎。
このまま行ったら、破滅の道を辿っていたかも知れないんだよ」
優しくて、泣きそうな顔で呟く永太郎に私はかける言葉が見つからなかった。
でも、でもよ!
「そもそも、あんた慎太郎を育てるお金あるの?」
そりゃ、ドア to ドアのお手軽引っ越しの私でも、住む場所を変える事の大変さはわかる。
さぁ、今から家を出ろと言われても、
すぐに住む場所が見つかるものではない事ぐらい。
でも、でもよ
あんなボロアパートに住んでいて、平日に山で写真を撮っている男に子供を育てる資金があるとは思えない。
「やっぱり、そこ ひっかっかちゃう?」
へてっという文字が見える。
「まぁ、これでもちゃんと働いてるよ。
昨日だって、仕事みたいなもんだし」
昨日?
そういえば、永太郎と出会った時山で写真を撮っていた。