言いましたが、 違います‼︎


色々ありすぎて、忘れていた。
って事は、カメラマン?

「いろんな所に行って、写真撮って、それを売ってる。
これでも、結構収入あるんだから」

永太郎は自慢げに言うが、私の引っかかりはそこじゃない。

「いろんな所に行ってる?」

私の呟く。

「そう、この前は雪山に1週間ぐらい篭ってて凍死するかと思っちゃった」

家が静寂に包まれる。

「収入の前に子育て環境ゼロじゃない‼︎」

思わず大声を出す。私の声に驚き慎太郎が目を覚まし、泣き始めた。

慌てて「ごめんね」と慎太郎をあやす。

「どうやって、育てていくつもりだったのよ‼︎」

またウトウトし始めた慎太郎を起こさないように小さな声で、怒りを永太郎にぶつける。

「そこは、美紗都ちゃんと・・・ね」

悪ぶる様子もなく、永太郎は可愛く言う。

可愛くないし、ムカつく。

「なんで私が‼︎」

声が大きくなる。

永太郎はシーと指を唇に当て「起きちゃう」
つい、「ごめんねぇ」と謝り、
慎太郎をあやした。

「ほら、乗りかかった船って言うじゃん」
「乗ってないわよ‼︎あんたたちが勝手に乗ってきたんでしょ‼︎」

反論すると「うまい」と永太郎が笑う。

「じゃぁ、恩を恩で返すって事で」
「はぁ?」
「僕、命の恩人だよね」

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