言いましたが、 違います‼︎

6-3



だけど、聞こえて来たのは、
三枝さんの今まで聞いた事のない笑い声だった。

「笑える‼︎お腹いたいぃ」
「こっちは何一つ笑えませんが‼︎」

あぁ、可笑しいと言いながらも

「ごめん。明日、顔出すから。
それまで頑張りなさい」

と言う。


宣言通り、三枝さんは両手いっぱいの荷物と子供を連れて朝から来てくれた。


それだけで泣きそう。

相当酷い顔をしていたのだろう私の顔を見るなり三枝さんは

「一先ず寝なさい」

と慎太郎を預かってくれた。

本当はお風呂に入ってさっぱりして、
ベッドでゆっくりと眠りたかったけど、
そこまで辿り着く気力すらない。

少しでも寝れると言う安心感で、記憶が途絶えた。


子供たちのキャッキャという声と美味しそうな匂いで目が覚める。

「あっ、起きた?うるさくてごめんね」
「慎太郎は?」

目覚めてすぐに慎太郎を探す私。
そんな私を見て三枝さんはクスクスと笑った。

そこで、うちの子と遊んでるから

子供たちに視線を向けると、子供の塊がある。慎太郎はその中心にいる様だ。


ホッとする私に三枝さんは

「勝手に使ったわよ」

と言いながら、温かい飲み物を入れてくれた。

「しっかりお母さんしているみたいね」

命を預かったので、仕方がなく

飲みながら小さな声で言う。

「途中何度か慎太郎君を抱っこしたの覚えてる?」

首を振る。

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