言いましたが、 違います‼︎
家に招き入れると、
健君たちが駆け寄り慎太郎を紹介している。
その光景を見ているだけで、頬が緩む。
「事情は聞いてるよ。
この子の母子手帳見せてもらえるかな」
三枝さんの旦那さんが聴診器を取り出しながら言った。
私よりも先に三枝さんが動く。
パラパラっとめくり「やっぱり」と呟く。
旦那さんにまとわりつく健君も「やっぱり」と真似をした。
一瞬の緊張が和らぐ。
旦那さんも健君を見て微笑む。
「生まれてから一度も病院に行ってないみたいだけど、大丈夫。
健康そのものだよ」
でも、ワクチン接種とかあるから、パートナーさんとしっかり連携を取って病院に来てね
パ、パートナー!
意味合い的には合ってますが、
そんなんじゃありません!
つい全力否定してしまう。
エッと困った顔の旦那さんと爆笑の三枝さん。
「やっぱり、今の根津。私好きだなぁ」
横っ腹を摩りながら言われても嬉しくないですから!
楽しそうに笑う三枝さんを嬉しそうに見る旦那さん。
幸せな家族が目の前にある。
羨ましい。心の底から思った。
結婚しても働かなければならない残念な人だと勝手に思っていた。
それでも楽しそうにしている姿を目撃する度に、能天気な人だと思っていた。
平凡で満足する人なんだ。
でも、それはいい私の勝手な思い込み。
人の片面だけを見て評価していたんだと思うと自分が恥ずかしくなった。