言いましたが、 違います‼︎
7-2
「さぁ、行くわよ」
三枝さんが私の手首を掴む。
「嫌ですよ」
「じゃぁ、何しに来たの?」
「三枝さんに文句を言う為?」
「そんな言い訳が通じるとでも」
三枝さんはぐんぐんと私を引っ張っていく。
「大丈夫だから。みんなには私からちゃんと説明したから‼︎」
文末に(笑)を付けて言わないで下さい。
と反論しようとも、三枝さんに抵抗する力が然程入っていない事が自分でもわかる。
認めたくないけど。
「根津が押しに弱い事なんてお見通しなんだから、観念しなさい」
ポーンエレベーターが到着する。
ゆっくりと扉が開く。さぁ、審判の時が来た。
私の体が固まる。
それを感じ取った様で、慎太郎が目を覚ます。私を見上げ、ニコッと笑った。
「すぐに終わるからね。終わったら、すぐに帰ろうねぇ」
慎太郎に小さな声で言う。
何も言わずに三枝さんは私の背中を押した。
「ねぇずぅさぁ〜んん」
私に凄い勢いで抱きつこうとする坂本さんを三枝さんが止める。
ワラワラと人が集まって来る。
仕事でこんなに人が集まって来る事なんて今までなかった気がする。
まさに救世主の登場
そんな気分になる。