言いましたが、 違います‼︎
すぐにわかった。
もう終わったのだと。
私の言い分など必要なく、やってしまった。
仲間からも会社からも切り捨てられる。
総務部部長の斉藤(サイトウ)さんから
この場で、みんなの前で
戒めとして言い渡されるのだと。
「根津(ネズ)さんはこのまま専務の下に置いておく事は出来ません」
やっぱりと顔を上げた。
散りゆく時こそ、堂々としていよう。
「それは今回の事だけではありませんよ。仕事を疎かにしたからです」
疎かにしていたつもりはない。
暇なら人間に仕事を回しただけです。
「彼らは有能な社員達です。私に報告がないとでも?」
真っ直ぐに私を見る斉藤部長。
やるなら、スパッと切り捨ててくれないだろうか?
斉藤部長が2本の指を上げる。
「根津さんには2つの選択肢があります。
秘書課に戻りアシスタントとして一からやり直すか、立ち去るかのどちらかです」
はっきりと言い切った見せない斉藤の姿に、
周囲が騒めく。
遠巻きに皆が見ていた。
厳しい目が急に和らぐ。
「根津さんが立っているその場所は、
根津さん自身の力だと言う事を私は知っています。
今日は終わって下さい。
週末です。
どこで間違ってしまったのか、じっくりと思い返してください」
少しだけ表情を緩た。
そして、私にだけ聞こえる小さな声で、
「折角の晴天の週末です。山へでも行ってみてはいかがですか?」