言いましたが、 違います‼︎
8-2
でも、まだ食事の途中。
箸を置き、水を一気に飲み干す。バンっと机に置く。
「で、これからどうするか、1ヶ月弱あったんだから、
1人でゆっくりと考えてきたんでしょうね‼︎」
「一人で」「ゆっくりと」を強調して言う。
これぐらいの嫌味は許されて良いはずだ。
「おぉ、怖っ」
と両手で腕を摩りながらワザとらしく言う。
コイツ、殴ってやりたい。
「一緒に仲良く頑張ろうね」
文末にハートが見える。
いいおっさんが気持ち悪いと顔が歪む。
「なんで私が、よく知らない会ったばかりの男と共同生活をしなきゃいけないわけ?」
ため息混じりに言葉をこぼす。
「根津美紗都ちゃん。大手企業で次期社長の専務秘書。
その専務を手に入れる為に色々やらかして、大目玉食らって、謹慎になって、気分転換に山に登ったら、山を甘く見ていて、遭難」
私の近況を話す永太郎を目を見開いて見る。
「なんで知ってるの?」
唖然としながら呟く。
「あれだけ大きな声で言いながら歩いてれば、イヤでも聞こえるって」
豪華に笑う永太郎。
「まぁ、少しでも条件の良い相手と結婚したいって言う考えは悪くないとは思うけど、
それを仕事に持ち込んじゃダメだよねぇ」