言いましたが、 違います‼︎


何を言い出すんだ、三枝さん。
眉間に皺を寄せ三枝さんを睨みつつも、時間に限りがあるのでお弁当を食べ進める。

「なんかごめん。
モラハラに悩んでる友達が、夫に言われたセリフと被っちゃって」
「モラハラ?私が?」

思わず出た大きな声が出た。

「根津がって事じゃないのよ。あんたのとこの事情は良く知ってるし。
ただ、家族ってチームなのよ。
どっちが多く負担してるとか、どっちが多く我慢してるとかじゃなくて。
家族というチームを維持する為にお互いのできる事を協力していかなきゃ」

聞け、周りの男性社員。

「チームを維持する為に、お互いが我慢してお互いが負担するの。
量の多い少ないじゃなくて、お互いがお互いに感謝して、労って維持していく事を重視するの」

三枝さんの熱弁が続く。

「どっちかが大変なんじゃない。どっちも、それぞれ大変なの。
相手が大変じゃないっていうのなら、一度代わってやってみればいいのよ」

ふぅと鼻から息を吐く。

食べ終わったお弁当を終い、「ごちそうさまでした」と手を合わせる。

「根津、聞いてる‼︎」
「聞いてますよ‼︎ちゃんと協力しあってやってます」

えっへんと腰に手を当てる。

「それにそもそも、私と永太郎はなんの関係もないただの居候と家主の関係ですぅ‼︎
ただ慎太郎が可愛いので、家にいる事を許可してるだけですぅ」

< 60 / 124 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop