言いましたが、 違います‼︎
話をちゃんと聞いてもらっている。
それだけで、自分の存在を認めて貰っている気になる。
「そもそもモラルってなんなのよって話よ。
家の事を女がやるって事?いつの時代のモラルな訳?
明治、大正じゃないつーの‼︎」
「その時代だって、女性が一人でやってた訳じゃないんだけどね」
永太郎が笑いながら、ビールを持ってきた。
慎太郎は私の腕の中で夢の中だ。
そろそろお開きという時間でも話は止まらない。
「世界的にも女性一人に家の全てを押し付けている国は少ないし、先進国では日本ぐらいじゃないかなぁ」
「そうなの?
私の家はパパも洗濯とか料理とかやってたから、女だからやりなさいって理解出来ないのよね」
「お手伝いさんとかいなかったの?」
「忙しい時はシッターを雇ってた時もあったけど、基本家に他人を入れるのを嫌がってたわね、ハイジが」
「ハイジ?」
「実家で飼ってるヨウム」
「ヨウム飼ってるの‼︎」
「家族以外、懐かないけどね」
そこから動物の話になる。
永太郎の目が輝き、今両親の元にいる動物を聞き出そうと身を乗り出した。
「絶対行こう‼︎慎太郎も連れてさぁ。
絶対楽しいって」
「慎太郎はいいとしても、なんであんたを両親に合わせなきゃいけないのよ」
「未来の旦那様だから?」
「誰のよ‼︎」
「もちろん美紗都ちゃん」
私は愛されたいの!
なんて言うんじゃなかった。
それから事あるごとに「可愛い」だの「好き」だの言ってくる。
そんな安い言葉などいらない!と拒否をしても「そういう美紗都ちゃんも可愛い」と笑っている。