言いましたが、 違います‼︎

10-2



そして、なぜか今、両親の熱烈な歓迎を受けているのだけど・・・

慎太郎はわかる。
あの可愛さに勝てるモノなんて存在しないぐらい可愛いから、ママが「かわいい」と連呼しながら抱き締めるのはわかる。

だが、なぜ永太郎とパパが力強く固い握手を交わしている?

そして、なぜ我が家の守護神であるハイジまで永太郎に懐いている。

なぜだ。なぜなんだぁ!

と叫んでも、誰も私に答えてはくれず。

「早く来なさい」

とママに急かされる。
ここ、私の実家。だよね。

きっと慎太郎は良くても永太郎は玄関すら跨げないと高を括っていた。

うちのハイジは知らない人が家に入る事を極端に嫌がった。
だから、仕方なしに両親は庭に四阿を立て、来客はそこで持て成すのが常だった。

なのに、なのにだ!
何、嬉しそうに永太郎に頭をカリカリしてもらっているんだぁ!

不貞腐れる私を他所に、室内にいる子たちが永太郎の周りに集まって来る。
ポケットにおやつとか忍ばせてるに違いない。

永太郎を見ると、永太郎は不敵な笑みを浮かべ、ポケットを叩いて見せる。
これは絶対に私をバカにしている。

帰ったら覚えておけよ!

と睨み返す。

その様子を両親が微笑ましく見ているとは思わなかった。

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