言いましたが、 違います‼︎


加奈さんの質問に答えようとしていると「お母さん‼︎」と桜さんの言葉に遮られる。

「そんなどこ馬の骨かわからない女に、お茶なんてもったいない‼︎水道水で十分よ‼︎」

どこの馬の骨?
初めて言われたわ。この子お兄ちゃん大好きっ子?

「美紗都ちゃん。心の声、ダダ漏れ」

永太郎に言われ、顔を上げると桜さんも加奈さんも目を見開いて私を見ている。

「あっ。失礼しました」

頭を下げたが、なんせ私は身動きが取れない。

軽く頭を下げては置いたが、事実なのだから大目に見てもらおう。

「何この女。うちはねぇ、警察関係の家柄なのよ‼︎」

さっき私の足元でキャンキャン吠えていたモカちゃんが擬人化したのか?

とモカちゃんを見ているが私の腕の中で慎太郎を舐めている。

仲良いなぁ、この二人。

こういう会話には慣れている。
いや、慣れすぎていたんだ。
これが普通だと思っていた。
これがマウンティングだなんて思ったことがなかった。だから、やらかしたんだけど。

ふぅとため息が出る。
この感じ、懐かしいけど、今は疲れる。


私の反応に永太郎は、クッと笑った。

面白がってるんじゃないわよ!

私はそう思ったけど、桜さんは違ったみたいで「バカにしないでよ‼︎」と憤慨していた。

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