言いましたが、 違います‼︎


今ならわかる。これはマウンティングだと。
でも、これではストレートに言い過ぎ。品がない。
この子、いつもトップにいたんだ。
マウンティングされた事がないんだ。

そう思った。
だから、あえてマウントを取ってみた。

私は大きくあからさまにため息をつく。

「警察関係?それは凄いわね」

桜さんは「でしょ」と胸を張る。
「あんたとは格が違うのよ」とでもこの後続くのかしら、と首を傾げてみる。

「警察って事は、家柄なんて関係なく実力の世界でしょ。凄いわぁ。それに比べて私の家なんて」

思いっきり上げてから、

「都内の土地を受け継いでいるだけだから、そんな風に堂々と言えるなんて羨ましいわ」

「私が自慢できるのなんて家系ぐらいだから恥ずかしいわ」

と付け足す。

実力の世界での出世なら、頑張れば誰にでもなれる世界でしょ。歴史のない家系って事よね。血筋関係ないじゃん!

を遠回しに言ってみる。

アワアワしている。
何か言い返したいけど、返す言葉が出てこない桜さんを見れば、通じたって事かしら?

「ところで、あなたは?」

その実力の世界で何をしているの?

ニコッと笑う。

トドメをさせただろうか?
マウントはこうやって取るのよ。

そうお手本を見せたかったけど、私の腕も短時間で鈍った。
京都の叔母様が聞いたら、怒られそうだわ。

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