言いましたが、 違います‼︎
12-3
慎太郎がグズリ出す。
時間を見れば、お腹が空く時間だ。
今か!また空気を読んだかな?
「慎太郎がお腹が空いたようですし、お暇します」
キリッと言う永太郎を遮り「無理」と言葉を被せた。
「今すぐ、ミルクを作ってきて」
永太郎を睨みながらも、優しく猫撫で声で言う。
慎太郎の鳴き声が大きくなる。
「早く」
急かすと永太郎はため息を吐きつつも、鞄からミルクセットを取り出し席を外した。
その後を慌てて着いていく加奈さん。
「今作ってくるからね。待っててねぇ」
慎太郎をあやしながら、おじ様二人をみた。
小さな子供と接する事がないのだろう。二人揃ってオドオドしている。ついでに桜さんも。
間違いなく親子だなぁ
そんな事を呑気に考えていた。
手慣れた永太郎はすぐに戻ってくる。
慎太郎の飲む姿に自然と笑みが溢れる。
空気が和らいだ気がした。
ソファに座ると、私の足元にモカちゃんが座り不思議そうにミルクを飲む慎太郎を見ている。
「皆さんも座ったらどうですか?」
私が言うと、皆がハッと我に帰り座り出す。
「お茶を」と席を外そうとする加奈さん。
「ここにあります」
机の上に置かれたセットを見ながら言うと、加奈さんもゆっくりと腰を下ろした。