言いましたが、 違います‼︎


慎太郎がミルクを飲んでいる様子をみんなが見守っている。

戸惑いながらも嬉しそうなお祖父様。
微笑ましく見守るお父様とお母様。

でも、永太郎は名前で読んでいたって事は後妻さんなのだろう。

この状況に不満そうだけど、家族が揃っている手前何も言えない桜さんは、永太郎の腹違いと言ったところだろか?

まぁ、絵に描いた家族だこと。

私は心の中で大きくため息をつくと、飲み終わった慎太郎を永太郎に渡した。

さぁ、皆の前でゲップを出してあげなさい

私の意図を読み取った永太郎もため息を吐きつつも、見事に慎太郎にゲップを出させる。

満足した慎太郎はニコッと笑う。

その慎太郎を受け取り

「お祖父様に抱っこしてもらいましょうね」

と今度はお父様に手渡した。

首が座って、だいぶぞんざいに扱っても大丈夫だけど、子供に慣れていないお父様は固まっている。


皆が自然と笑顔になる。
見よ、これが慎太郎の力だ!

自慢気に永太郎を見ると、呆れた顔で私を見ていた。

「慎太郎は本当に可愛い。また顔を見せに来なさい」

これにて解散!

そうなるのが理想なのだけど、そうはいかないようで。永太郎の後ろで主役の奪われた少女の視線が痛い。

何をどう攻撃してくるのだろうか?

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