言いましたが、 違います‼︎
12-4
でも、今、こうして口にする事で、
すでに私の中で覚悟が決まっていたんだと気付かされる。
「悪かったわね」
帰る準備をしている時に、私の元へ来た桜さんが気まずそうに言った。
冷静になって、自分がとんでもない事を言った事に気付いたのだろう。
素直に謝れるだけ、当時の私より彼女の方がマシかもしれない。
「私も言い過ぎたわ、ごめんなさいね。これでお相子ってことにしましょ」
そう言うと桜さんは「確かに、美紗都さんも結構言うわね」と笑った。
「お兄ちゃんもあんな風に笑うのね。初めて見た」
寂しそうに呟く桜さんに
「そうなの?私と出会った時から、あんな感じだからいつもムカついているわよ。
何度殺そうかと思ったか」
呆れ顔で言うと、
「他人行儀のお兄ちゃんも、相当イヤな感じだよ‼︎私はあんな風に接して欲しかったんだもん‼︎」
「これからじゃない」
「頑張る」
「頑張る事?」
「いい叔母さんになれば、笑ってくれそうなんだもん」
「その前にモカちゃんね」
2人で笑っていると、永太郎が「そろそろいくよ」とやってきて荷物を持ち上げる。
皆にお別れを言って家を出た。