言いましたが、 違います‼︎


こいつ、マジで殴りたい。

「とにかく‼︎」

笑う永太郎を睨みながら
「こんなプロポーズ、認めません」
と力強く言う。

「え〜‼︎」

不満そうにする永太郎。

「当たり前でしょ‼︎」
「でも、でもさぁ。
認めないって事は、ちゃんとすればいいって事だよね」

ん?
冷静に考えてみる。
私、もしかして入籍する事前提で話を進めてる?

「そっかぁ。美紗都ちゃん、乙女だもんねぇ」

一人納得している永太郎。

「でもさぁ、慎太郎の事を思えば早く籍入れちゃった方がよくない?」
「ちょっと‼︎慎太郎を持ち出すのは卑怯じゃないの‼︎」
「だって、美紗都ちゃんに合わせてたら、慎太郎が小学生になっちゃうよ‼︎下手したら社会人になちゃうじゃん‼︎」

どこかで聞いたセリフだと永太郎を見ればニヤニヤ笑っている。

「いいおっさんが“じゃん”とか言わないでよ‼︎気持ち悪い」
「おっさんなんだから、しょうがないじゃん‼︎」

ワザと“じゃん”を強調する永太郎を睨みつける。

「まぁいいじゃん‼︎サインしちゃおうよぅ。
それで、名実ともの慎太郎の母親になろう‼︎
そうすれば、慎太郎が病気や怪我をした時すぐに病院に駆け込めちゃうよ」

「ね、いい事尽くめだよ」

話し方がだんだんテレビショッピング風になっていく。

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