言いましたが、 違います‼︎


確かに慎太郎に関する事で自分の権利が主張でいるのはありがたい。

今は良くても、永太郎が仕事に出るようになれば自ずと何処かに預けなくてはならない。

だったら、社内保育所に預けたい。
それならば、永太郎の子ではダメで、私の子供として申請しなければならない。

慎太郎を思えば・・・

私が永太郎に聞こえるように大きくため息をつきながら立ち上がると、不安そうな顔をした。

ちょっと気持ちがいい。

永太郎に見えないように、にやけてしまう顔を引き締め、神妙な顔で鞄を手にまた永太郎の前に座った。

審判を言い渡すように、たっぷりと間を作ってから、婚姻届にサインと判をする。

息を呑みながら待つ永太郎の顔が一気に満面の笑みに変わる。

私は鼻でフッと笑う。

「これであんたがいつ死んでも、安心して慎太郎と暮らせるわね」
「勝手に殺さないでよ」

永太郎が私に抱きつきながら言う。

「暑苦しいのよ、離れなさいよ」
「ヤダ‼︎」
「ヤダじゃない‼︎」

怒っているはずなのに、顔が笑っていると自分でもわかる。

この感じ、嫌いじゃない。
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