恋と願いは欲せよ
ストーリ1.「事実は少女漫画よりも奇なり!?」

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「私の事、覚えてますか…私っ…」

まさに少女漫画のようなアングルと展開。
誰しもがこの先に待って居るであろう甘い物語を思い描く中で彼から発せられた言葉は、

「お前は俺よか誰の大切にも特別にもなれない。」

「…えっ___」

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春が来たと言うにはまだ肌寒さを覚える4月初旬。
「え〜ですから、」響く声とザワザワと大きな体育館を埋め尽くす同年代の話し声に胸を躍らせる。彼女の名前は、千歳 巴(チトセ ハク)。

「…んう〜ああダメだ〜私こう言う場所だと発動しちゃう…」

「はあ、場所関係なく発動するでしょうが…あんたの(ソレは)…」

口から出ている言葉とは裏腹にキラキラと目を輝かせ辺りを見回す巴(ハク)に呆れ顔で答えるのは、彼女の友人である知多 神奈(チタ カンナ)。

「それにあんたいくら緩いって言ったって入学式くらいは前向いてなさいよ…」

「だってこんなに人数居るんだよ!?クラス別れたら「誰あれ居たっけ?」ってなるんだよ!」

今見ときたいの!そう言ってふふんと見回り業務に戻る彼女にこれまた呆れ顔で「好きにしてもう…」と続ける彼女たちは今まさに高校の入学式の最中だった。

苗字が近い彼女達は小学生からの仲で毎回のこと隣同士か離れても二、三人と嫌でも仲良くなる…いやなるしかない運命だった。その腐れ縁が今の今まで続き遂には同じ高校に入学を果たす事になったのだ。
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