恋と願いは欲せよ
流石だわ〜と嫌味を吐く神奈(カンナ)の言葉届かず巴(ハク)は目をキラキラと輝かせている。
後の自己紹介で判明した彼の名前は 枦山 儿(ハセヤ ヒト)。担当科目は英語で年齢は20代前半、独身だが俺は貴族だと豪語して教室を凍らせていた。

「枦山(ハセヤ)先生さ_____」

「アンタの言いたい事は分かるわよ。」

一限目は席替えだ〜と謳っていた枦山(ハセヤ)だが「待て。まずはお互い中を深める為に簡単なレクリエーションでもするか」と突然の体育館移動の後にレクリエーションをする事になり今はその移動中だ。

「アンタの言いたい事は分かるわ。「「なんで担当科目 英語なのに白衣着てんの?」」でしょ」

多分あの教室に居たみんな思ってたわよ。とクスクスと小さく笑う神奈(カンナ)に

「神奈(カンナ)も緊張とかするのね、あんた何だかんだ口数少なかったしいつもより軽口叩いてたから!笑わなかったし!」

このこの〜!可愛い奴め!!と神奈(カンナ)の頬を突く巴(ハク)の手を「やかましいっ」と払い除けて「確かにちょっとだけ緊張してたかも」と口にする神奈(カンナ)の言葉に「らしいらしい〜やっといつも通り〜」と笑って茶々を入れているすると

「ほのぼのしている所に申し訳ないが頼まれ事をしてくれないかな〜神奈(カンナ)さん巴(ハク)さん?」

とデジャブを感じる声が頭上から降ってくる。

「あ、枦山(ハセヤ)、」

「枦山(ハセヤ)先生な。これ持ってくれ。」

そう言うと枦山(ハセヤ)は抱えている重そうな荷物では無く、上に乗っている出席名簿を顎で押した。

「このクソ重そうな箱持てって言われると思った…」

案外いい所あんじゃんと肩で肘を押す神奈(カンナ)に「俺が運ぶ方が早いからな。わざわざ(ひ・よ・わ)なお前らに頼むわけないだろ。」
最近の女子高生は少し重い物を持たせただけでヒィヒィ煩いからな、と枦山(ハセヤ)は鼻で笑う。

「あ〜重い重い。お前ら俺が紳士で良かったな〜」

「…枦山(ハセヤ)先生…格好良いかも〜〜」

「あ〜始まった巴(ハク)の超絶 恋愛体質〜行こハセン」

とホワホワと宙を仰いでいる巴(ハク)を横目に足を進める神奈(カンナ)、すると

「だからめ〜ちゃくち可愛い子がいたんだて!」

「お前は性別違いなら可愛いって思っちまう性分あるからな…どうだか」

そう言い合って「だ〜から!あっ」と前に出た片方の男子と当たった。「早く来なさいよ…」と巴(ハク)に小言を吐いていた神奈(カンナ)は前をキチンと向いて歩いて居らず同時に話に夢中になっていた男子も神奈(カンナ)の存在をキチンと目視していなかった…

(あ、やばいコレ頭から行くっ……)

反射的に頭を守る体制を作り衝撃に備えていた神奈(カンナ)だったが、

「あれ?…痛くない…」

「あれ…?…痛くない?じゃねえよ…両方とも脇見運転イエローカードだ。」
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