政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「俺の抱き心地はどうだった?」

ニヤリと零士さんが右頬を歪めて笑い、瞬間、枕で顔を隠していた。

「清華?」

「……零士さんは意地悪です」

「そういう清華は可愛いから、もっと意地悪したくなるんだが?」

いきなり、枕を取り上げられた。
取り返そうとしたが、零士さんがベッドの下へ投げ捨てる。

「おはよう、清華」

抵抗する私を無視して、彼は私の額に口付けを落とした。

「……零士さんの意地悪」

不満げに上目遣いで睨んだところで彼にはまったく効いていない。

「ほら、起きよう。
もっと清華を可愛がりたいが、俺は今日も仕事だ」

零士さんに手を引っ張られ、渋々ながら起き上がった。

今日もメイドさんが作ってくれた朝食を食べる。

「そのー、……もう少し、お仕事減らせないんですか?」

このひと月で零士さんが家にいたのは四日しかない。
帰ってきたかと思ったら、すぐに出ていく。
できればもうちょっと休んでほしい。

「なんだ清華、心配してくれるのか?」

ふふっと小さく、からかうように零士さんが笑い、ぷーっと頬を膨らませていた。
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