政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
食事のあと、ずっと寝室の机の上に飾ってあったルビーのピアスを零士さんは持ってきた。

「これを、俺の買ったピアスと変えよう」

「はい」

零士さんの指が、私の耳のファーストピアスを外す。

「痛いか?」

「もうまったく」

少しだけ心配そうに顔をのぞき込んだ彼に、笑って答える。

「なら」

ケースからピアスを取りだし、零士さんはキャッチを外した。
左の手が穴を広げるように僅かに右の耳朶を引っ張り、そっとピアスが差し込まれる。

……なんか、変。

ピアスなんてただのモノ。
でもなぜか、いけないことをしているかのように心臓が高鳴った。

「もう片方も」

同じように左耳にも零士さんの手によってピアスが装着される。

「……綺麗だ」

零士さんが顔を近づけ、自分の着けたピアスに吐息をかける。

「俺が、清華の身体に入っている」

「……んっ」
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