政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
まだ熱の冷めない顔で視線を逸らし、話題を変える。

「できたのか。
それは楽しみだな」

「はい、ちょっと待っていてくださいね」

逃げるように立ち上がり、自分の部屋へと向かう。
……今日の零士さん、いつもにもまして攻めてきたなー。
今でこれって、それのときってどうなっちゃうんだろ?
……いやいや、今はまだ考えない。

「お待たせしまし、た……」

リビングに戻ると、零士さんは肘掛けに頬杖をついて眠っていた。

「零士、さん……?」

視線に気づいたのか、眼鏡の奥でゆっくりと彼の目が開く。

「……ああ、すまん。
ちょっと寝てた」

目が合って彼はにっこりと笑ったが……やっぱりお疲れなんだ。

「デザイン画、見せてくれ」

「ああ、はい」

笑顔を作って持ってきたデザイン画を差し出す。

「素敵だな」

「本当ですか!?」

隣に座った私の腰を零士さんが抱き寄せる。
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