政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
私こそ、零士さんに褒められて気持ちがふわふわする。
少し熱い顔で俯き気味に、フロックコートの方を指した。

「うん、じゃあそっちで。
でも、これも素敵だからもったいないよな」

彼がこんなに、私のデザインを気に入ってくれるなんて思わなかった。
それだけで頑張ってよかったって思える。

「なあ。
こっちを結婚式のときに着て、こっちを披露宴のときに着るとかダメか?
いや、それだと作る清華が大変か」

零士さんの長い指が両方のデザインを順番に指す。
そこまで言ってくれるのなら。

「作ります、両方!
それで、披露宴用のドレスもデザインします!」

働いていない今、時間ならたっぷりあるはず。
計画を早く実行に移したい気持ちはあるが、少しくらい遅れたって支障はない。

「無理はしなくていいんだぞ?」

心配そうに少しだけ、零士さんの眉間に皺が寄る。

「大丈夫です!
それに、これくらいできないとWEBショップ開くとか、絶対に無理ですから」

「……WEBショップ?」

怪訝そうな彼の声で自分の失言に気づいた。

「あ、えと、なんでもないですよ。
頑張って作りますね!」

適当に笑って誤魔化す。
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