政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
第五章 新妻の朝帰りは許されません
「はぁーっ、上手くいかないな……」

縫ってみたドレスを確認してため息が出る。
こうしたい、と思い描いているものに、なかなか近づいていかないのだ。

「休憩、休憩。
煮詰まっていたって、いいアイディアは出ないし」

気がつけばすでに、お昼を越えている。
それに朝食のあとからずっと部屋にこもっていたんだから、休憩はそろそろ必要だ。

「すみません……」

キッチンをのぞいたがメイドさんはいなかった。

……勝手に食べちゃ……悪いよね。
いつもなにか、用意してくれているし。

私から声をかけない限り、基本私には干渉しないようになっている。
おかげで作業に集中できた。

「あの……」

控えめに、家の中へ声をかける。

「はい、ただいま」

すぐに返事があって、寝室からメイドさんが出てきた。

「すみません、シーツの交換をしていたものですから」

証明するかのように彼女の手にはシーツが抱えられていた。

「いえ、いつもありがとうございます。
とりあえずそれ、置いてきちゃってください」
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