政略結婚のはずですが？～極甘御曹司のマイフェアレディ計画～
「もうこんな時間か」

今日は零士さんが帰ってくるから、夕食は私が作る日。

「さーて、はじめようっと」

凝り固まった肩を解しながら部屋を出る。
キッチンには材料をすでに、メイドさんが買いそろえてくれていた。

「いつもありがとうございます」

それにお礼を言って、調理をはじめる。
零士さんは私が作ると凄く喜んでくれた。
だから私も、作り甲斐がある。

「ただいま、清華」

「おかえりなさいませ」

帰ってきた零士さんが私の額に口付けを落とし、ぎゅーっと抱き締めてくる。

「補充、しますか？」

「もちろん」

ふふっと小さく笑い、零士さんは私を抱き上げてソファーに座った。
膝に私をのせ、零士さんの手がそっと頬に触れる。

「キス、していいか？」

「はい」

了承の返事をして目を閉じると唇が重なった。
零士さんは今でも、キスするときは必ず私に許可を取る。
そんなの、しなくったっていいんだけどな。

唇はちゅっ、ちゅっ、と何度も触れた。
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