政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
第一章 自由の終わりと25歳の誕生日
その日は、二十四歳最後の日だった。
「短い間ですが、お世話になりました。
会社は辞めますが、服作りは続けていくつもりです。
どこかで見かけたら、買ってくれたら嬉しいです!」
出てきそうな涙を見られないように、勢いよく頭を下げる。
「楽しみにしてるよ!」
「ちゃっかりしてるね!」
「元気でね!」
様々な温かい声で堪えきれなくなり、にじんできた涙を指先で拭った。
今日、私は二年と三ヶ月、ファッションデザイナーとして働いた会社を辞める。
「鴇田。
よかったら最後、飲みに行かないか?」
尊敬する古手川課長が誘ってくれて、嬉しい。
彼は短期間で辞める条件付きのためにどこでも難色を示された私を、採用してくれた恩人だ。
ただし、「二年しか働けないなら、その期間で元が取れるだけ働かせればいいだけだろ」なんて言った人でもあるのでそこだけはいただけない。
でも今では、当時まだ二十代で課長になったばかりの彼が、私のためにかなり無理をしてくれたのも知っている。
これもその方便のひとつだったのも。
「古手川課長、ズルい!
私も!
私も行きたい!」
「あー、私もですー!」
次々に手が上がり、会社を出るときには私を含めて八人になっていた。
「短い間ですが、お世話になりました。
会社は辞めますが、服作りは続けていくつもりです。
どこかで見かけたら、買ってくれたら嬉しいです!」
出てきそうな涙を見られないように、勢いよく頭を下げる。
「楽しみにしてるよ!」
「ちゃっかりしてるね!」
「元気でね!」
様々な温かい声で堪えきれなくなり、にじんできた涙を指先で拭った。
今日、私は二年と三ヶ月、ファッションデザイナーとして働いた会社を辞める。
「鴇田。
よかったら最後、飲みに行かないか?」
尊敬する古手川課長が誘ってくれて、嬉しい。
彼は短期間で辞める条件付きのためにどこでも難色を示された私を、採用してくれた恩人だ。
ただし、「二年しか働けないなら、その期間で元が取れるだけ働かせればいいだけだろ」なんて言った人でもあるのでそこだけはいただけない。
でも今では、当時まだ二十代で課長になったばかりの彼が、私のためにかなり無理をしてくれたのも知っている。
これもその方便のひとつだったのも。
「古手川課長、ズルい!
私も!
私も行きたい!」
「あー、私もですー!」
次々に手が上がり、会社を出るときには私を含めて八人になっていた。