政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
だいぶたって、ようやく寝室に零士さんが来た。
手にしていたカップの片方を差し出され、受け取る。

「とりあえず、飲め」

「ありがとうございます」

中身は、ホットミルクのようだった。
蜂蜜でつけられた甘みに、ほっとする。

「その。
……こんな時間まで、連絡もしないで帰ってこないでごめんなさい」

彼の目は見られなくて、カップを弄びながら謝罪の言葉を口にする。

「つい、はしゃぎすぎて寝落ちていました。
すみません。
もう二度としないので、許してください」

そのまま、零士さんの言葉を待つ。

「寝落ちしていただけか」

「はい、それだけです」

「じゃあ、あのにおいは?」

におい?
そう言えば零士さんは私に「臭い」と言っていた。
「他の男のにおい」とも。
それって、もしかして……。

「たぶん、古手川さんと一緒の毛布で寝ていたからだと思います」

「一緒の毛布ぅ?」
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