政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「……あ」

零士さんは私がやればいいが、私の衣装は誰が仮縫いドレスの様子を見てくれるのだろう?
メイドさんに頼むという手もあるが、できればプロの目も欲しい。

「誰かに頼む?」

でも、誰に?
思い浮かんだのは古手川さんだったが、零士さん、許してくれるかな……?

今日中に仮縫いを済ませてしまおうと作業に集中していたが、携帯が通知音を立てて途切れる。
零士さんか、時間的にお義母さまかもしれない。
しかし画面には古手川さんからだと出ていた。

「なんだろう……?」

通知をタップしてメッセージを表示する。

【昨日は旦那に怒られなかったか?
新妻に朝帰りさせるとかダメだよな、気づかなくて悪かった。
話は変わるけど、よかったら店を手伝ってくれないか?
詳しい話は会ってしたい】

朝帰りはないとか、早く気づいてほしい。
いや、私が飲み過ぎて寝落ちたのが悪いんだけれど。
でもちょっと不思議なんだよね。
昨日飲んだ量を考えるが、あれくらいで寝落ちたことはない。
あれかな、はしゃぎすぎたからかな。

しかし、店を手伝ってほしいというのは魅力的だ。
尊敬していた元上司のお願いだ、聞きたいというのもある。
それに私は、古手川さんが作る服が好きなのだ。
けれど、零士さんが許可してくれる気がしない。
誤解は解けた……と思うが、それでも難しそうだ。
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