政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
昨晩のあれは十二分に反省したし、もうすでに葬り去りたい黒歴史なので触れないでもらいたい。

「わるい、わるい。
他にはなかったか?」

「ないですよ。
あ、零士さんの衣装の仮縫いが終わったので、時間があるときに着てみてほしいんですが」

「できたのか!」

ぱーっと零士さんの顔が輝き、苦笑いしてしまう。

「仮縫い、なのでまだできあがりではないですよ」

「それでも楽しみだ」

零士さんが喜んでくれるのが嬉しい。
仮縫い衣装を見ても同じ反応だったらいいな。

「あ、そうだ。
古手川さんがお店を手伝ってくれないかって言われたんです、が……」

言葉は尻すぼみになって消えていく。
それほどまでに零士さんは冷たい目で私を見ていた。

「ダメだ」

すべて言い終えないうちに、却下された。

「なんでですか?
昨日、古手川さんと……」

「それとこれとは別問題だ」
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