政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
意味がわからなくて顔を見上げるが、彼は涼しい顔をしている。
まさか……とは思うが、私の勘違いでありますように。
通された会議室には、三十代半ばくらいの男女が待っていた。
「じゃあ、よろしく頼む」
彼らにそれだけ言って零士さんは部屋を出ていこうとするが、少しくらい説明が欲しいです!
「……ああ。
清華は自分のブランドを立ち上げたいと言っていただろ?」
私の縋るような視線に気づいたのか、ドアに向かいかけた足を止めて零士さんが説明してくれる。
「だから今日は面接だ」
彼はさらっと言ってのけたが、……予感的中です。
私のためなのはわかるが、これはまーったく嬉しくない。
私は実力でブランドを立ち上げたいのであって、お金で買うなんて論外だ。
「零士さん!」
思わず抗議の声を上げた、が。
「俺は妻だろうが、実力のないものを採用する気はない」
レンズの向こうで切れそうなほど彼の目が細くなり、ビシッと背筋が伸びた。
「それにこの会社には清華が俺の妻だからといって忖度するような、無能はいないと信じている」
零士さんの言葉で怯えるように先にいたふたりの背中がびくりと大きく震える。
これは私も、彼らも責任重大だ。
まさか……とは思うが、私の勘違いでありますように。
通された会議室には、三十代半ばくらいの男女が待っていた。
「じゃあ、よろしく頼む」
彼らにそれだけ言って零士さんは部屋を出ていこうとするが、少しくらい説明が欲しいです!
「……ああ。
清華は自分のブランドを立ち上げたいと言っていただろ?」
私の縋るような視線に気づいたのか、ドアに向かいかけた足を止めて零士さんが説明してくれる。
「だから今日は面接だ」
彼はさらっと言ってのけたが、……予感的中です。
私のためなのはわかるが、これはまーったく嬉しくない。
私は実力でブランドを立ち上げたいのであって、お金で買うなんて論外だ。
「零士さん!」
思わず抗議の声を上げた、が。
「俺は妻だろうが、実力のないものを採用する気はない」
レンズの向こうで切れそうなほど彼の目が細くなり、ビシッと背筋が伸びた。
「それにこの会社には清華が俺の妻だからといって忖度するような、無能はいないと信じている」
零士さんの言葉で怯えるように先にいたふたりの背中がびくりと大きく震える。
これは私も、彼らも責任重大だ。