政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「美味しそうです!」

ひとり暮らし時代に憧れ、結局機会がなくて食べられなかった。
それが目の前にあるのだ、感動もひとしおです。

「そんなに喜んでくれるとは思わなかった」

零士さんがおかしそうにくすくすと笑っていて、頬が熱くなっていく。

「あの、その」

良家の子女ならこんなの、特別でもなんでもない。
なのにはしゃいでいるなんて、ありえなさすぎる。

「清華が喜んでくれると俺も嬉しい」

眼鏡の影に笑い皺をのぞかせ、零士さんがとても幸せそうな顔をする。
それに耐えられなくて目を伏せた。

「……そんな」

――私も零士さんが喜んでくれると嬉しいです。
と、言おうとしたが。

「清華、あーん」

「……へ?」

零士さんから摘まんだサンドイッチを差し出され、変な声が出た。

「れ、零士さん?」

「ほら、あーん」

動揺する私をよそに、彼はさらにサンドイッチを差し出してくる。

「あ、あーん?」
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