政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
仕方ないので口を開けたら、それが入れられた。

「あのー、零士さん?
これは……?」

口をもぐもぐさせながらは行儀が悪いとは思うが、それでも聞かざるをえない。

「んー?
あーん」

しかし私の質問は受け付けず、飲み込んだのを確認して次を差し出してきた。

「え、えーっと。
……あーん」

引き攣った笑顔でそれを口に入れる。
口を動かしながらこの状況を考えた。
しかしわかったのは、うっとりと笑って次を待っている彼がこれをやりたいということだけだ。

……零士さんがやりたいならいいか。

心の中で苦笑いしつつ、次が差し出されて口を開けた。

零士さん大満足でアフタヌーンティを堪能したあとは、ベッドでごろごろする。

「清華は大学時代からひとり暮らしをしていたんだよな?」

「はい。
親もとを離れて、ひとりでできることはなるべくひとりでしていました」

零士さんと向きあってゆったりと話す。

「どんな生活をしていたんだ?」

「そうですね……」
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