政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「えっと、とりあえず離していただけますか……?」

「あ、……うん」

零士さんの手が緩んだので抜け出し、起き上がって乱れた服を直した。

「あー、……なんかすまない」

「……いえ。
寝ぼけていたなら仕方ないので……」

ふたりとも目を合わせないように背中を向け、ぼそぼそと話す。

「食事して帰るだろ?
このまま泊まってもいいが、どうする?」

話しながら零士さんはサイドテーブルに置いてあった眼鏡をかけた。

「私は泊まりでもいいですが、零士さんのご予定はどうなんですか」

「少しくらいなら大丈夫だ。
なら、泊まって帰るか」

ようやくこちらを向いた彼が私の頭を照れくさそうにぽんぽんする。

「わるかった」

「いいんですよ、気にしてないですから」

自分から零士さんに抱きつくと、彼は私を膝の上にのせた。

「なに食べる?」

「そうですね……。
そう言えば零士さんはマグロのお寿司以外でなにが好きなんですか?」
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