政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「あれをブランドイメージにして、それに沿って展開していけばいいだろ?」

零士さんの意見は一理ある。
あれは現在私の持てる技術のすべてをつぎ込んだ、現時点での最高傑作になるはずだ。
それをブランドイメージすれば、見栄えがいいだろう。
それにまだ、方向性についてはほとんど話していない。

「……ちょっと考えさせてください」

「わかった、その方向で動くように連絡しておく」

善は急げとばかりに零士さんは携帯に指を走らせているが、もうすでにメールかなにか送っているんだろうか。
話が完全に噛みあっていないが……課せられた課題だと思おう。

しゃぶしゃぶは……零士さんはお肉ばかり食べていた。

「お肉、好きなんですか?」

「好きだな」

もう何枚目かわからない牛肉が零士さんの口の中へと消えていく。

「追加頼むか」

「そうですね……」

返事をしつつ、傍らに置かれたお皿をちらり。
そこには手つかずの野菜が山盛りになっていた。
当然、鍋の中には出汁としゃぶしゃぶされる肉しかない。

「野菜も食べませんか……?」
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