政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
そこには【二十五歳の誕生日、おめでとう。新たな門出に】と書いてあって、ますます謎が深まっていく。
毎年、誕生日を祝う言葉と共に書いてあったのは【君の夢を応援している】だ。
それはこの九年、変わったことはない。
なのに、今年は違う。
「どういうことなんだろう……」
興味本位で数えてみた薔薇は、百八本あった。
「準備は済んだのか?」
今年の花束の変化について考えていたら、父が顔を出した。
「ああ、綺麗だな。
これでもう、嫁に出せる」
まだ見合いだというのに、父はまるで私が嫁ぐ日かのように涙ぐんでいる。
「あなた……」
「やっと帰ってきたかと思ったら、もう出ていくんだもんな。
淋しくなる」
父に寄り添う母もしんみりしているが、またしばらくはここで暮らすのだ。
そんなに簡単に出ていかせないでもらいたい。
時間になり、両親に連れられてお見合い会場となる老舗料亭へと向かう。
今日のお見合い相手は神鷹零士さん、三十四歳。
旧『神野財閥』創業者の一族で次の当主だ。
父がCEOのこうのフィナンシャルコーポレートは元はこの財閥で、今でも神鷹家は大株主。
世が世なら、主君に差し出す人質……みたいなものになるんだろうか。
零士さん自身は航空会社をはじめ、いくつも会社を経営している遣り手だ。
料亭に着き、通された部屋で相手方を待つ。
どんな人が来るのだろうとどきどきしていた。
毎年、誕生日を祝う言葉と共に書いてあったのは【君の夢を応援している】だ。
それはこの九年、変わったことはない。
なのに、今年は違う。
「どういうことなんだろう……」
興味本位で数えてみた薔薇は、百八本あった。
「準備は済んだのか?」
今年の花束の変化について考えていたら、父が顔を出した。
「ああ、綺麗だな。
これでもう、嫁に出せる」
まだ見合いだというのに、父はまるで私が嫁ぐ日かのように涙ぐんでいる。
「あなた……」
「やっと帰ってきたかと思ったら、もう出ていくんだもんな。
淋しくなる」
父に寄り添う母もしんみりしているが、またしばらくはここで暮らすのだ。
そんなに簡単に出ていかせないでもらいたい。
時間になり、両親に連れられてお見合い会場となる老舗料亭へと向かう。
今日のお見合い相手は神鷹零士さん、三十四歳。
旧『神野財閥』創業者の一族で次の当主だ。
父がCEOのこうのフィナンシャルコーポレートは元はこの財閥で、今でも神鷹家は大株主。
世が世なら、主君に差し出す人質……みたいなものになるんだろうか。
零士さん自身は航空会社をはじめ、いくつも会社を経営している遣り手だ。
料亭に着き、通された部屋で相手方を待つ。
どんな人が来るのだろうとどきどきしていた。