政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
しかしながら零士さんの大反対が出て、わざわざパーティションが準備される運びとなった。

「ほんと、ヤキモチ妬きだよね」

着替えながら数日前の零士さんが思い出されて笑いが漏れる。

『仕事だろうがなんだろうが、俺以外のヤツの前で着替えるなんて論外だ!』

試着室はどうしようとか悩んでいたので、その辺で着替えると言ったらこのように食いつかれた。
モデルはそれが普通だしと説得したものの。

『清華はモデルじゃないだろ!』

と、さらに。

仕事ではそれが当たり前だとわかっていても、どうしても私の身体を見られるのが嫌なのらしい。
仕方ないので簡易試着室を作ってもらったというわけだ。

着替え終わり、様子を見てもらう。

「ピン、留めますねー」

縫い代にてきぱきとピンが留められていく。
実際着てみたら、裾はもう少し長くてもいいかなと感じた。

「スカート、もう五センチ長くてもよさそうですね」

「そうですよね!」

ほぼ思ったのと同じ内容が言われ、激しく同意する。

「トレーンの長さと広がり方はどうでしょう……?」

ドレスのために周りにいくつもの鏡を並べてくださったので、全体が見やすい。
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