政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
零士さんの手を借りて、少し歩く。
彼の支えがあっても、歩くのが酷く怖い。

「そんな状態なら、もっと低い踵のにしたら……」

「ダメです!」

間髪入れず、零士さんの提案を断った。

「このドレスを一番綺麗に見せるにはこの高さが必要なんです!
そのためならどんな努力だってします!」

憧れだった長いトレーン。
背の低い私には似合わないのは知っていた。
それでもどうしても着たくて、このヒールを選んだ。
それに結婚式くらい……零士さんと釣り合いたい。

「そうやって服に情熱を注ぐ清華、可愛い」

零士さんの腕が腰に回り、あれ?とか思っていたら唇が重なった。

「それにいつもよりキスしやすいのもいい」

しれっと零士さんは笑っているが、今は人前なんですよ!?

「あの、えと」

ちらちらと周りをうかがったら、ほとんどの方が気まずそうに私たちから目を逸らしていた。
さすがに、これは見てはいけないものだという認識があるらしい。

「その、トレーンはどうだったでしょうか?」

顔は上げられず下を向いたまま、彼女たちに問いかける。
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