政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「歩くとトレーンがさらに綺麗ですね。
大丈夫そうなら、もう少しボリュームを出してもいいかもしれません」

女性社員が携帯で取ってくれた映像を見て動きを確認する。
言われるとおり、まだボリュームだしていいかも。
その方が見栄えもよくなる。

「今度はトレーンを外したあとも見ていただいていいですか?」

「はい」

手際よくトレーンが外され、少し身体が軽くなった。

「やはりトレーンなしとのバランスから考えて、スカートはもう少し長めがいいですね」

「ですね」

零士さんに支えられ、鏡の前で確認する。

「あとは大丈夫じゃないでしょうか」

「ありがとうございました」

私も、変更したい点はそれくらいだと思う。
うん、あーでもないこーでもないと悩みながら作った甲斐があった。
……まだ、本番が残っているけれど。

「じゃあ次、お願いします」

「はい」

衣装は結婚式用と披露宴用の二組。
靴をその場で脱いで簡易更衣室に入ろうとしたら、零士さんが着いてきた。

「あのー、零士さん?」
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