政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
零士さんがスゴみ、一同がピタッと止まる。
彼は笑顔だったが、額にははっきりと青筋が浮いていた。

「こんなによくできた女が妻で、君ら羨ましいだろう?」

うんうんと全員が頷く。

「しかし残念ながら俺の妻なんだ。
諦めろ」

はぁーっと今度は大きなため息が落ちていった。

「……諦めますけど。
諦めますけど!」

ぱっとスポットライトでも当たったかのように、中央のひとりに視線が集まる。
彼女は強く拳を握り、ぶるぶると震えていた。

「清華さんを不幸にしたら許しませんからね!
そのときは下克上じゃー!」

ビシッとその指先が零士さんの鼻先に突きつけられたが。

「清華は俺が絶対に幸せにするから問題ない」

ニヤニヤと彼は笑っていて、まったく効いていなかった。

少し遅くなったが、お昼に誘われた。

「君ら、四日ぶりに会えた清華との時間を邪魔する気か?」

私は行く気だったが、しっかり零士さんから抱き寄せるように引き離された。

「ほら、金やるから君らだけで行ってこい」

マネークリップからお金を引き抜いて渡し、零士さんは邪険に手を振った。
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