政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「きゃー、これならホテルランチブッフェ行けるわよ!」

「時間は融通しといてやるから、ゆっくり楽しんでこーい」

「社長、太っ腹ー。
ごちになりまーす!
じゃ、いってきまーす!」

うきうきと彼女たちは目的地へ向かっていく。
去り際、男性社員がこちらに向かって頭を下げた。
あの女性集団の中でひとりは大変そうで同情した。

「じゃ、俺たちも食事に行くか。
なにが食べたい?」

改めて、零士さんが私の顔をのぞき込む。

「零士さんが食べたいものでいいですよ」

「清華は優しいなー。
でもいつもそうやって譲ってくれるから、たまには清華が食べたいものがいい」

零士さんの手が私の身体に回り、あっというまに抱き上げられた。

「零士さん?」

今抱き上げる必要がありますか?

「清華の顔、もっと近くで見たい」

目を合わせ、彼が唇を重ねてくる。

「……外でキス、禁止です」

「我慢できないんだから仕方ない」
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