政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
ひと言叫んだのを皮切りに、次々に自慢が出てくる。

「こんな下等生物にこの私が劣っているとでも!?
大学でミスを務めたこともあるこの私が!
神童と崇められたこの私は、頭脳容姿共に誰よりも優れているのよ!」

髪を振り乱し喚き散らす様は、元ミスキャンパスも形無しだ。

「私は分家とはいえ、神鷹の一族なのよ!
お父様には次の総理が約束されているし、誰も逆らえないの!
あなただって!」

キャンキャン吠える鞠子さんがうるさい。
自分自身の自慢はまだいいが、家の話はうんざりする。

「お茶もお花も満足にできない、顔だってブサイクだし、家は二流で大学は三流。
こんな女よりも私の方が将来のためにもいいってなぜわからないかしら、零士さんは?」

頬に手を当て、はぁっと物憂げに彼女はため息を吐き出した。
そのあたりは私も知りたいところなので、ぜひ零士さんに聞いてもらいたい。

「あなたなんかよりこの私と結婚した方が零士さんのためになるの。
それはわかるでしょう?」

そこから滾々といかに自分が零士さんの役に立ち、私が足枷になるのか、愚かな生徒に言い聞かせるように説明された。
それを、完全に醒めて聞いていた。
わかったのは、鞠子さんにとって零士さんはただのブランド。
ただのファッション。
彼女が必要なのは零士さんの地位と権力、それにその容姿だけで、中身は関係ない。
一億歩譲って彼女が、零士さんが好きだから別れてくれというのなら少しくらい考えてもいい。
しかしそんな、彼の皮だけが欲しい人間なんかに、彼を絶対に譲らない。

「そろそろわかってくれたかしら?」
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