政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
しかし、どこに連れていかれたかまでは知らないはずだ。

「携帯のGPS?」

なぜに疑問形?
もし、居場所特定用のGPSがどこかに仕掛けられていたとしても、それで助かったのでこれについては今は聞かないでおこう。

「場所を特定するのに時間がかかってしまい、本当に悪かったと思っている」

「零士さんは悪くないですよ」

昨日もだが、零士さんが詫びる必要なんてどこにもない。
私をあんな目に遭わせた超本人のキツネ男が悪いんだし、こうなる可能性がゼロではないとわかっていながら行った私も悪い。

「私がわかっているのに、行ったりしたから」

「清華はわかっていても、もし本当に鞠子が窮地に立たされているんだったらと思うと、いても立ってもいられなかったんだろ?」

零士さんの言葉に、黙って頷いた。

「そういう甘い清華が俺は好きだ」

零士さんが私の額に口付けを落とす。

「それにその可能性があるのに無視していたら、俺はがっかりしていただろう」

冗談っぽく零士さんは言ったがその目は本気だったので、決断を間違わなくてよかった。

零士さんから顔中に口付けを落とされながら、甘い時間を過ごす。

……そう言えばあのとき、零士さんがあの人に重なったんだよね。
もしかして、零士さんが……あの人?
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