政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
ちゅっと口付けしされ、離された髪がさらさらと落ちていく。

「清華を俺のものにしたい。
それで清華の自由が終わる直前に、父上に結婚を申し出たんだ。
……なのに清華が俺を、忘れているとはな」

ははっと嘲笑するように零士さんは笑いを落とした。

「ごめんなさい。
でも、零士さんも早く言ってくれればよかったのに」

「覚えているのが俺だけとか、悲しすぎるだろ」

拗ねているのか、零士さんは小さく口を尖らせた。

「それで。
俺は清華が好きだ。
愛している」

零士さんが熱い瞳で私を見つめる。
予想が確信に変わり、喜びが身体中を駆け巡っていった。
これほどまでの幸せがあっていいんだろうか。

「零士さん……」

好き。
零士さんが好き。
愛している。
こんなにも気持ちは溢れているのに、感情が昂ぶりすぎて言葉になって出てこない。
自然と両手が零士さんの顔を掴み、唇を重ねていた。
自分から彼の中に侵入し、舌を絡める。
一瞬、驚いたように固まった彼だったが、すぐに彼の方からも求めてきた。

「……ん……ふっ……」
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