政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
熱のこもった甘い吐息が、息継ぎするたびに私の口からも零士さんの口からも零れる。
後ろ頭に回った彼の手が、私の髪をぐしゃぐしゃに掻き乱した。

「……」

唇が離れ、黙って見つめあう。
欲に濡れた瞳が、レンズの向こうから私を見ていた。

「……清華」

「……はい」

期待で胸が高鳴る。
ああ、私はこれで……。

「続きはまだおあずけだ」

「へ?」

わけがわかっていない私の髪を手ぐしで直し、零士さんが軽く唇を触れさせる。

「怪我に響くからな」

「……零士さんの意地悪」

こんなに盛り上がっていたのに、おあずけだなんてあんまりだよ……。
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