政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
その下からは熱く蕩けた瞳が出てきた。
その目に見つめられ、身体の奥に火がついた気がした。

「……はい」

私の返事を合図に、零士さんの唇が重なる。
そして――。

心も身体もぐずぐずに溶かされ、ぼーっとなった頭で彼を見上げる。

「痛いと思うが……我慢してくれ」

「大丈夫ですよ」

零士さんが気遣ってくれて嬉しい。
それに、少しくらい痛いのは平気だし……と思っていたら、想像していたよりもずっと痛かった。

「いっ……!」

痛すぎて悲鳴すら出てこない。
どうにか耐えていたら、彼が動きを止めた。

「痛いよな、わるい」

あやすように口付けし、零士さんは枕をきつく掴んでいた私の手を、自分の身体に回させた。

「痛いなら俺に抱きついとけ」

私の額を撫で、彼が微笑みかける。

「でも……」

きっと、爪を立ててしまう。
そんなの、できない。
< 241 / 252 >

この作品をシェア

pagetop