政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
番外 君が眠っているあいだに
俺の膝の上で彼女が気持ちよさそうに寝息を立てる。
その両頬は痛そうに腫れ上がっていた。
「……許せない」
俺の清華をこんな目に遭わせたヤツ、全員。
「ちょっと出てくるが、すぐに戻ってくるからな」
布団をかけ直し、そっとその唇に口付けを落として病室を出る。
待たせてあった車で向かう先は久礼の家。
行き着くまでにある先へ電話を入れた。
「お世話になっております。
先生が最近、変わったペットを飼っていると小耳に挟みまして。
……土蜘蛛、でしたか」
電話口で相手が息を飲むのがわかったが、かまわずに続ける。
「私の妻がそのペットに大変可愛がっていただいたので、お礼をと思いまして」
受話器の向こうから返事はない。
「……ただで済むと思うなよ」
ドスを利かせてそれだけ言い、電話を切る。
切れる直前悲鳴じみた声が聞こえていたが、知るか。
あの議員が土蜘蛛組と組んで私腹を肥やしているのは知っていた。
清華には言わなかったが、今回の件も政敵である久礼を陥れたいがために画策されたものだったのも。
父にはすでに連絡を入れてある。
きっと明日には彼の失脚のニュースが出るだろう。
あの男が失脚すれば、それでなくても大混乱中の土蜘蛛組もただではいられない。
きっと……潰れる。
ざまあみろだ。
その両頬は痛そうに腫れ上がっていた。
「……許せない」
俺の清華をこんな目に遭わせたヤツ、全員。
「ちょっと出てくるが、すぐに戻ってくるからな」
布団をかけ直し、そっとその唇に口付けを落として病室を出る。
待たせてあった車で向かう先は久礼の家。
行き着くまでにある先へ電話を入れた。
「お世話になっております。
先生が最近、変わったペットを飼っていると小耳に挟みまして。
……土蜘蛛、でしたか」
電話口で相手が息を飲むのがわかったが、かまわずに続ける。
「私の妻がそのペットに大変可愛がっていただいたので、お礼をと思いまして」
受話器の向こうから返事はない。
「……ただで済むと思うなよ」
ドスを利かせてそれだけ言い、電話を切る。
切れる直前悲鳴じみた声が聞こえていたが、知るか。
あの議員が土蜘蛛組と組んで私腹を肥やしているのは知っていた。
清華には言わなかったが、今回の件も政敵である久礼を陥れたいがために画策されたものだったのも。
父にはすでに連絡を入れてある。
きっと明日には彼の失脚のニュースが出るだろう。
あの男が失脚すれば、それでなくても大混乱中の土蜘蛛組もただではいられない。
きっと……潰れる。
ざまあみろだ。