政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「でも、そんなに鍛えてどうするんですか?」

「守るものが増えたんだから当たり前だろ?」

後ろから私を抱き締め、大きくなったお腹を零士さんが撫でる。
妙に彼は真面目で、そういうのが嬉しかったんだけれど。



陽愛が生まれてしばらくは、主に零士さんが陽愛を抱っこし、私は隣を歩くスタイルだった。
もう零士さんに抱っこしてもらえないのは淋しくはあるが、あれはかなり恥ずかしかったし、子供と私ふたりを抱っこなんて大変だもんね、と思っていたものの。

――今日はひさしぶりに、零士さんに抱っこされて動物園を回っている。



はしゃぎ疲れたのか、帰りの車の中で陽愛は眠ってしまった。

「ひさしぶりに清華を抱っこしたが、相変わらず軽いな」

運転しながら零士さんは楽しそうにくすくすと笑っている。

「それはトレーニングの成果では?」

「それもそうかもな」

頷く零士さんがおかしくてついくすりと笑いが漏れた。

「でも、二人目が生まれたどうするんですか?
腕は二本しかありません」

「ん?
陽愛をおんぶして、二人目と清華を抱っこだな」

「三人目は?」

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